連載『まちのプロジェクト基金』を振り返る~その2 学びと改善のための事業評価

2020年3月3日

佐藤綾乃・北海道NPOファンド運営委員/NPO運営サポートあの屋代表

「あの屋」では、 ”本来のミッション”に集中できる環境づくり』をミッションに、NPOのバックオフィス支援など運営改善の「きっかけづくり」をお手伝い。旭川を拠点に、活動を展開中!

(2019年7月ぴっぱらの森でのヒアリングの様子。左から3人めが評価者の加藤剛さん)

2018年10月から始まった新しい助成プログラムづくりは、北海道NPOファンドにとっては新しい挑戦であり、モデル事業という形の実施であったため、企画を進めてきた私たちにとって、プログラムの状況や成果を可視化すること、関係者へ報告すること、今回の学びを改善につなげるといった「振り返り」の機会を持つことはとても重要でした。

事業評価を行うためには、「誰が」「何のために」「何を根拠に」するのかを明確にしていく必要があります。寄付募集が始まった4月頃より、どのような形で評価を行うのかを検討し、私たちなりに悩んだ結果、助成プログラムへの知見がある外部の評価者へ依頼し、数回の打ち合わせを経て、評価目的・評価設問を設定していきました。

今回の評価では、
1)本助成プログラムの目的を達成しているか
①組織診断、クラウドファンディング、伴走支援といったプログラムが、組織基盤強化に効果があるかどうか
②活動地域内の支援者や協力者を巻き込む仕掛けとなり得るか
2)本助成プログラムを継続して運営するにあたって、改善・検討すべき点はなにか
という2つの評価目的を設定し、関係者へのヒアリングやアンケートなどを実施しました。プログラムの企画を作り始めた頃、その時に思い描いていた成果や目的は、どのように変化したのか、もしくは変わらなかったのか……。そのような側面を振り返り、改善を図りなら事業を進められるという機会は、まだまだ経験不足なプログラムオフィサーの我々にとって、とても貴重な時間となりました。

評価者の方には、寄付募集終了後の7月に来道いただき、旭川地区・札幌地区の関係者へ直接ヒアリングする機会も設けました。寄付集めだけが目的ではない本助成プログラムにおいて、説明会・組織診断・寄付募集・事業実施という流れの中で、どれだけ団体や伴走支援者にとって新しい挑戦があったのか、どれだけ新しい気付きがあったのか、どれだけ今後の活動に活かせるなにかを見つけることができたのかなど、あらためて言葉にすることで、新たな気づきが得られる機会にもなりました。

そして、事業を組み立ててきた私たちには、たくさんの課題が残りました。評価報告書に書かれたポイントの一つ一つを、あらためて検証し、関係者や全国各地で同様の取り組みを行っている方々の意見を参考にしつつ、新たにプログラムを組み立て直すという作業を経て、現在、第2期がスタートしています。
評価に関しては、様々な手法や専門的知識が求められているような側面が強く、NPOの現場にとっては、まだまだ身近に感じられないかもしれません。評価は、単なる事実確認や点数付けではなく、私たち自身が、これまで成長と、これからの成長に思いを馳せて、自分たちが気づいていなかった価値や改善点に気づくきっかけを作る道具です。ぜひ多くのNPOで、評価結果も、評価という考え方そのものも、日頃の活動に活用してもらいたいです。

※評価報告書は、北のNPO基金・まちのプロジェクト基金第1期の実績が掲載されているページよりダウンロード可能です。https://npoproject.hokkaido.jp/?page_id=987

まちのプロジェクト基金