休眠預金等活用法助成の実際(3)~社会的居場所に関わる2つの事業、非常時や変化につよい地域社会を目指して

2023年6月2日

北海道NPOファンド 理事 高山

2022年度、北海道NPOファンドは、江別市のみなと計画、北海道NPOサポートセンターと連携して、「社会的居場所を核とした働き方と暮らし方の共生の実現~地域コミュニティにおける障がいのあるLGBTQの受容を目指して(2022年度草の根活動支援事業・地域)」事業を実施します(公募期間5/8~6/30)。

この事業においては、中長期目標を「障がいのあるLGBTQ当事者が、社会的居場所を通じて、平常時/非常時に左右されず、精神的、経済的な安心感を得られるようになり、それにより、社会的少数者が自らの可能性を追求でき、理解のある職場環境で働き、人と人とのつながりのなかで暮らすことのできる地域社会」と定めています。

社会的居場所という言葉は最近になって浸透してきましたが、北海道NPOファンドの休眠預金助成事業においては、コロナ禍における緊急助成でテーマとしました。それが2020年後半から21年度にかけて実施した「北海道リスタート事業~社会的居場所を失った人に新たなつながりを(新型コロナウイルス対応緊急支援助成)」です。11団体が採択されて、前例のないコロナ感染症の拡大という事態に対応して、社会的居場所の維持、創設、そしてそこに関わる市民を増やしていく活動に取り組みました。

この事業の当初の課題認識として、「働く場や自分を表現する場所を失うことにより社会的な繋がりを絶たれ、精神的にも物理的にも居場所を失ってしまう人がいる」「社会課題解決の担い手である市民活動の縮小:人材・資源の不足」というものがありました。後者は、以前からの課題でもあるかもしれませんが、コロナ禍により深刻度が増した課題です。これらの課題を社会的居場所を新たにつくったり、従前の居場所で活動できなくなった人が関われる場をつくることで解消していくことがこの事業の狙いでした。

22年3月に北海道リスタート事業が完了し、改めて社会的居場所の存在が、コロナ禍あるいは自然災害時において有効に機能するということを実感しました。報告書から抜粋しますと「それらは平時においては、何らかのNPO活動であったり、自助グループであったり、非常時ほどの利用のない相談窓口であったりする。平時では大きく目立つことはないが、潜在的な対象者と関係を築いており、そのことが非常時において状況の把握やニーズ把握にとって大いに効果的なものになる。」

このたびの公募では、この認識から始まり、社会的居場所の考え方をさらに一歩押し進めて、関わる人がそこにおいて、働き方暮らし方の面でより社会と強いつながりを持てる状態を目指してします。障がいのあるLGBTQの方を対象とした社会的居場所が、地域において認知されることで、LGBTQだけでなく広く社会的少数者のための社会的居場所の必要性、その機能のアップデートの必要性が認識されることを期待しています。

それら社会的居場所が平時において運営されているところでは、非常時における社会的少数者の迅速な状況把握や対応が可能になり、結果的に社会としてのコストを低減させると考えられます。北海道リスタート事業および今回の「社会的居場所を核にした働き方と暮らし方の共生の実現」により、非常事態に強い地域社会づくりにつなげたいと考えています。

 

社会的居場所を核にした働き方と暮らし方の共生の実現

 

社会的居場所を核とした働き方と暮らし方の共生の実現~地域コミュニティにおける障がいのあるLGBTQの受容を目指して

北海道リスタート事業~社会的居場所を失った人に新たなつながりを(新型コロナウイルス対応緊急支援助成)

北海道リスタート事業~社会的居場所を失った人に新たなつながりを(休眠預金等活用法助成)

 


北海道NPOファンドの休眠預金助成事業


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