連載「まちのプロジェクト基金ができるまで」その2~コミュニティ財団の先進事例に学ぶ

2019年3月1日

北海道NPOファンド事務局 高山大祐

“伴走支援と一体となった事業指定型寄付助成プログラム“である、まちのプロジェクト基金は、構想としては2016年に北のNPO基金として事業を再編したときからありました。この基金の目的は、当該事業の資金調達を支援するだけではなく、団体と北海道NPOファンドが積極的に寄付集めに協力することにより、社会に向かって有意義な非営利活動があるということをアピールすることにあります。しかし、構想があっても実施となると、先立つ資金も人員も必要ですし、何よりも申請団体にメリットがあるような助成ができるのか?と自らに問うてみると、できる!と言い切れる状態ではありませんでした。

今回助成をいただけたことで、構想を実現するための最適の機会に恵まれた私たちが最初に行ったことが先進事例視察です。10月12日に「みんなでつくる財団岡山」13日に「コミュニティ未来創造基金ひろしま」、10月18日は「ちばのWA地域づくり基金」を訪れました。これらはいずれもコミュニティ財団と呼ばれ、「地域の課題解決を市民の力で実現していくこと」を目指しています。

事業指定寄付助成を中心に、財団運営の中での位置づけ、募集要項、申請用紙の作成意図、選考基準、申請団体への支援などについて伺いました。運営の形態も少しずつ異なる3財団のお話を聞く中で、北海道NPOファンドが行う事業指定型寄付助成の役割を改めて意識することができました。それは、社会とNPO両方に対してのメッセージというのでしょうか。意義ある活動の周知とともに、NPOに対しては、その団体の状況に応じた支援をするための組織診断+基盤強化支援をご用意する。クラウドファンドで大成功を収めるような世間の耳目を集める事業はそう簡単にできるものではありませんが、団体の意欲や努力に報いられるような助成プログラムにしていきたい、その意味でも「まちのプロジェクト基金」が、組織診断および伴走支援を含む助成であることは重要なことではないかと思います。

今回伺ったコミュニティ財団の事業指定型寄付助成には、運営の劇的変化を促すというよりは、団体の成長を見守り、自覚を促すような姿勢が感じられました。目標額の達成はもちろん重要な目標なのですが、団体関係者が自団体のことを改めて考えて、それを行動につなげるお手伝いをすることも同じくらい大事なことではないかと感じました。

「その1」で佐藤綾乃さんが言及していたように、この助成プログラムには組織支援+資金支援だけでなく、北海道の広域性に対応する複数地域実施や、中間支援組織が支える伴走支援の体制づくりといった、野心的な狙いがあります。

時々、その狙いの大きさが恐ろしくなることもありますが、目標は高く、歩みは堅実に、夢の実現を果たしたいものです。

みんなでつくる財団岡山にて

2018年10月岡山にて