連載『まちのプロジェクト基金』を振り返る~その4「第2期に向けて」

2020年5月17日

北海道NPOファンド事務局 高山大祐

3月末に第2期まちのプロジェクト基金のエントリー締切を迎え、今年は3団体からエントリーがあり、1団体が残念ながら辞退することになりました。今年2月から新型コロナウィルス感染症の影響が大きくなりはじめ、まちのプロジェクト基金も、日程を一部変更し、エントリー団体の状況に応じた日程変更の余地を残しつつ、進行していきたいと思います。活動場所自体の使用が難しくなり、通常の活動が難しいという団体さんもあると思いますが、日ごろ手をつけられない組織課題を見直すにはよい時期ともいえるかもしれません。

今回は第2期へ向けて第1期からの主な変更点について述べていきたいと思います。

1. 組織診断期間の設定

第1期は、エントリー受付後に、組織診断を開始し、その間に選定委員会を開催して、ステップ2の資金集め段階に進む団体を決めました。この間およそ1か月、4団体の組織診断に臨みましたが、かなりタイトなスケジュールでした。組織診断自体は、私たち運営側がエントリー団体について知るうえでかなり有意義な試みであると考えられましたので、第2期では組織診断をすべて終えてから、step2に進むことにしました。第1期を終えてみて感じたのは、組織診断において、実行団体の組織課題が思った以上に拾えている、ということでした。私たち支援者側が十分意識していないようなところにも、振り返ってみるとヒントが潜んでいる。資金調達期間を終えてみて見出される組織についての課題のいくつかは、組織診断段階においてすでに表れているといってよいものでした。組織診断の結果を、もっと組織基盤強化と資金調達計画づくりに活かしたい。このプログラムで組織が大きく動き出すのは資金調達計画づくりからですから、そのときにあわせて、組織の状態を理解しておくことが大切です。そうした考えから、第2期においては、診断プロセスが済んでから、次の段階に進むようにしました。
もっとも診断結果を活かすといっても、レーダーチャートの一番低いところを伸ばすという簡単なことではなく、時には診断結果の繊細な読み解きを要することになるかもしれません。第1期における資金調達フェーズの間、診断時の言葉が頭をよぎることも何度かありました。実際の動きの中で、あのときの言葉はこういう意味なのかもしれない、と思い当たるのです。診断結果の読み込みによって、動きの中でしか見えないように思われる組織課題のいくつかは事前に予測し、対処や改善も可能なのではないかと思います。

2. 伴走支援体制の変更

第1期においては、事業期間全体を通して担当する人間を伴走支援者と呼び、そこに資金調達期間は、ファンドレイジング担当の支援者が加わりました。専門家が資金調達計画から実践までを支援してくれるのはとても心強いことなのですが、伴走支援者との関係が曖昧になってしまうきらいがあり、支援者の方達からも指摘されたこともあり、第2期では、伴走リーダー、サブリーダー、メンバーに再編成し、組織診断から資金集めまで原則としてリーダーの指示で動くこととしました。ファンドレイジングの専門家は、チームの中でリーダーやサブリーダーとして支援にあたります。そして運営側からは、プログラムオフィサーが助成事業全体の責任者として参加しますが、伴走チームの支援内容について指示を出したりはしません。支援者のみなさんが動きやすくということで、このようにチーム体制を整理しました。

社会、経済がいつもとは大きく異なる状態に置かれている中、第2期まちのプロジェクト基金も順応に苦労することになると思いますが、そこはNPOらしく簡単にやめずに
① 多機関連携を担う力(コミュニケーションや調整力)を伸ばすこと
② 地域の支援者について振り返り、さらに支援者層を拡大すること
③ 組織課題を洗い出し、取り組みにつなげていくこと
を目指して、プログラム参加団体が当ファンドの伴走支援チームと共に取り組みたいと思います。

まちのプロジェクト基金