連載「まちのプロジェクト基金ができるまで」その3~『組織診断』は、NPOにとっての健康診断

2019年4月7日

佐藤綾乃・北海道NPOファンド運営委員/NPO運営サポートあの屋代表

「あの屋」では、 ”本来のミッション”に集中できる環境づくり』をミッションに、NPOのバックオフィス支援など運営改善の「きっかけづくり」をお手伝い。旭川を拠点に、活動を展開中!

「『まちのプロジェクト基金』の目的は、寄付集めよりも組織基盤強化です!」という言葉を、この2ヶ月間何度も口にしてきました。事業指定型寄付助成を参考に組み立ててきたこの基金では、クラウドファンディングに挑戦することを、単なる資金調達の手段ではなく、組織基盤強化の手段としての活用をめざしています。

第1期の団体募集に際し、札幌と旭川で説明会を開催しました。ここでは、上述のように基金の趣旨を説明するのと併せて、組織診断(組織評価)についての説明を行いました。

組織診断は、組織運営上の問題・課題を抽出し、解決の方向性を見出すためのマネジメント手法とされています。ミッションを掲げてひた走る団体の運営に対して、ちょっと待った!を言い、これまでの活動や組織そのものについて、立ち止まり、振り返り、見直す作業です。
悪いところがあるかどうかわからないのに、治療やリハビリはしない。組織の課題、弱みや強みを知るという、組織にとっての『健康診断』を、私たちはプログラムに組み込むことにしました。
「まちのプロジェクト基金」のプログラムにエントリーした団体は、1月中にチェックシートを元にしたセルフチェックと、担当者によるヒアリングを受け、2月に診断結果を元にした振り返りを行い、その中で組織としての課題や自信をもって進めてもらいたい点などを共有しました。診断結果は、現在進められている寄付募集の計画づくりの中でも、意識するポイントとして活用されています。

現在、NPOのための組織診断の手法やツールには様々なものがあり、(一財)非営利組織評価センターによる第三者評価の認証制度なども始まっています。これらに共通する点は、「組織が持続・継続して活動するために必要な“信頼性”を問う」ところだと考えます。
組織運営の中では、スタッフ・役員・理事といった内部関係者にとっても、協働相手となる市民・行政・企業にとっても、資金提供をする助成財団や支援組織にとっても、「この団体は信頼できるだろうか」と問われる機会がたくさんあります。順位や優劣をつけるためではなく、団体が抱える問題や課題を抽出し、改善に結びつけ、持続・継続して活動を続けることができるように。
ぜひ『組織診断』をご活用ください!

組織診断(組織評価)について