認定NPO法人 北海道NPOファンド
donor Voices / 2026.03
Donor Voices-小林董信基金 ご寄付者インタビュー

運用益を、
次の担い手へ

公認会計士・税理士として石川公認会計士事務所を営むかたわら、令和6年からNPO法人ふくしの風の理事長を務める石川信行さん。長年のNPOバンクでの経験と、資産運用益を社会貢献に充てるという構想が、このたび小林董信基金への寄付というかたちで結実した。
NPO法人ふくしの風理事長 石川信行さんの写真
NPO法人ふくしの風 理事長 石川信行さん
寄附

石川さんは、公認会計士・税理士として石川公認会計士事務所を開業する傍ら、令和6年からは「NPO法人ふくしの風」の理事長として同法人の事業を引き継いだ。以前から北海道NPOバンクの審査員・理事としてもNPOに関わってこられた石川さんが、このたび資産運用の収益から北海道NPOファンドの小林董信基金にご寄付をくださった。資産運用益による社会貢献は近年話題になりつつある。NPOとの関わり、「ふくしの風」の活動、社会貢献や地域貢献についてのお考えを伺った。

インタビューは2026年3月26日、北海道NPOファンド事務所にて実施。記事は石川さんからいただいた補足資料などを参考に作成(北海道NPOファンド 遠藤、高山)。

NPO法人ふくしの風について教えてください

NPO法人ふくしの風は平成25年に、障がい者等を支援する目的で設立されました。当初は職業訓練事業を行う予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で計画がとん挫し、その後数年間は休業状態でした。令和6年に僕が運営を引き継ぎ、障がい者支援を乗馬セラピー事業を通して行うこととしました。あわせて、かねてから構想していた「資産を運用して運用益を社会貢献に使う事業」(以下、ファンド事業)も行うこととしました。

資産を運用して運用益を社会貢献に使う事業が、当初から構想にあったのですね

直接のきっかけは、親の遺産を相続したことです。これをそのまま高配当株への投資にまわしたところ運用がうまくいき、年間2~3百万円の運用益を確保できるまでになりました。ここでこの財産をどうしようかと考えました。何らかの非営利法人の立ち上げを考えたのですが、公益財団法人は敷居が高く、また一般社団法人ではプライベートな感じが強い。最終的にNPO法人ふくしの風に有価証券を拠出して、ファンド事業を行うことにしました。

運用益をNPO支援に

子供のころは預金利息も5%くらいあり、基金を設けて、その運用益で事業を行う団体がそれなりにあったようです。社会人になったころにはすっかり低金利になっていて、こうした基金の運用益が数万円以下になり、運営に苦慮する場面を多々見てきました。ただ逆に言うと、運用さえうまくいけば元本に手をつけず、運用益のみで社会貢献活動はできるのでは、という問題意識は持っていたところです。

株式の世界も変わってきており、日本における配当のあり方も変わって、高配当株への投資が定着してきました。高配当株のいいところは、買ってしまえば売ったり買ったりしなくていいところです。この配当益をどうしようかというときに、もとから考えていた社会貢献に、ということになりました。

ただ付言したいのは、資産運用は財源が株式の配当であり、やはりハイリスクであることは否めません。「これから新たにこの形で」ということについては、慎重な判断が必要だと思います。 石川信行(NPO法人ふくしの風 理事長)

当法人に関して言えば、昨今の株高で結果的に十分な含み益が確保できており、当面は安定的に運営できるめどは立っております。

石川さんとNPOの関わり

青年会議所のからみ(2003年)で、北海道NPOサポートセンターの北村さん(※北海道NPOサポートセンターのキーパーソン、後に北海道NPOファンドの事務局長を務める)にインタビューをしたことがあって、それでかかわりができて、同業の上野先生にNPOバンクを手伝ってくれないかと言われて、2004年から手伝い始めました。

2003年頃、NPOのフォーラムに招かれて参加をしたんだけど、NPOの人は熱いなと。事業組合の理事長だった高木さんも印象的でしたね、熱い人だった。

当時印象に残ったのは、北村さんから、マネタイズやお金にしなきゃいけないという意識を強く感じたことでした。エネルギーも体力もかかることだし、(NPOは)難しい組織だなと思ったね。当時からお金の面も問題はあったなと思っていた。その後、北海道NPOバンクも20年近くやってきた。

NPOへの融資から見えたこと

僕らはNPOをつくった世代ではないけれど、NPO制度がつくられたときのことはよく知っている世代だと思っています。そのころは、NPOへの融資は市中の金融機関には断られてしまう時代だった。不器用な団体にも事業計画、予算書を出してもらって、小額とはいえお金を回していけた。ステップアップのための融資をしていたと思っていましたが、団体はいつまでもNPOバンクの融資を受けているのではなく、さらに成長してほしいと思っていました。

多い時は年間40件近く融資していました。NPO融資は日本政策金融公庫や労働金庫からもできるようになって、認知されてきたといえるかもしれません。役割が終わったという見方もできるでしょうね。北海道NPOバンクは現在、解散に向けて準備をしています。

NPOとは長い付き合いなのですね。今回、小林基金――長くNPOのキーパーソンであった北海道NPOサポートセンターの事務局長を偲ぶ基金にご寄付をいただきました。小林さんの思い出は何かありますか

うん、あるある。こういうふうに言っていいのか分からないけど、話してみると気のいいおじちゃんというかね。でも周囲の人に聞いてみるとNPOのキーパーソンだというので、そこのギャップが面白かったですね。

自分のためにという考えはなかったですか

そこは自分が親からもらった遺産なので、子孫にそのままいくのもどうかなと思った。元本部分はともかく、運用益は社会貢献に使おうじゃないかという。だから、具体的に何に使うかというのは後から決めるという感じでしたね。

今は貸してるけど、いずれ全額寄付する予定です。社会貢献に使おうと思ったのは、人生観もある。世の中の不平等を容易に解消できないとは思いつつね。石川信行(NPO法人ふくしの風 理事長)

今のNPOに思うこと

まだまだ解決できていないことがあって、理念先行にならざるを得ない。私としてはこどもに関わる支援をしたくて、今はフードバンクに関わってます。補助金ねらいになっていくと事業が増えてくるのは、ジレンマがありますね。

最後に

僕自身、長く北海道NPOバンクや北海道NPOサポートセンターにコミットしてましたので、このたびは小林前事務局長のお名前を冠した基金に寄付しました。自ら事業を行うというよりも、中間支援活動が性に合っているようで、いまは運用益をもとにNPO法人への寄付や奨学金事業等の形で社会に関わっていこうと思います。

石川さんとNPOのあゆみ
1997
越智喜代秋氏が遺言でNPO活動への遺産寄贈を意思表示
2002
当時としては珍しいNPOへの融資を行う北海道NPOバンクが設立される
2003
青年会議所の縁で北村さんに取材、NPOフォーラムに参加
2004
北海道NPOバンクの審査員・理事として活動を開始
令和6
NPO法人ふくしの風の理事長に就任。乗馬セラピー事業とファンド事業を開始
2026
運用益より、年間50から60万円を5年間、小林董信基金へ寄付
※インタビュー内容および北海道NPOファンド資料をもとに編集部作成
PROFILE
石川信行 さん
石川公認会計士事務所 代表
NPO法人ふくしの風 理事長
北海道NPOバンク 元審査員・理事

編集部より

インタビューで何度か名前の挙がっている北海道NPOバンクは、北海道NPOサポートセンター、NPO推進北海道会議のメンバーが中心となって2002年に設立された、NPOへの融資を目的とするNPO法人である。石川さんは長く審査委員を務め、NPO推進北海道会議などの会員としても、さまざまな形でご意見をくださっていた。資産運用益を社会貢献に回すというのは、低金利時代が長く続いた後では新鮮に映る。

今回は、年間50-60万円を5年間にわたり小林基金にという大変ありがたいお申し出をいただいた。NPOの新たな担い手を支援し、インタビューでも指摘されていたNPOの資金面の課題克服につなげていきたい。

――北海道NPOファンド 高山
小林董信基金について

北海道のNPOの基礎づくりに貢献した故・小林董信氏を偲び、その意志を受け継ぐ助成基金です。

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認定NPO法人 北海道NPOファンド

1999年設立の「NPO越智基金」を前身とし、市民・企業などからの寄付をもとに北海道のNPO活動を支援しています。

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