NODE

NPO法が制定される1年前、労働運動や市民活動の活発化を背景に、市民が編集委員会を組織し創刊されたのが雑誌[NODE]です。[NODE]編集委員会の方々(富塚廣氏、松井豊氏、片桐真氏、桜井雅章氏)が制作にかける思いは、創刊ゼロ号「市民中心型社会の構築を目指して(P.68〜70)」に記されており、NPO法制定に向かう時代を読み取ることができます。

1997年2月1日に発行された創刊ゼロ号の1ページ目の「発刊宣言」にはこうあります。

「市民自治と民主主義」に貫かれた「新しい社会」をめざして

住む場、働く場、生きる場を組みなおしていく「行動する市民」のネットワーク・マガジンを創刊します。

● いま、私たちのまわりで大きな変化が進行しています。国家や政治、経済、情報、文化、仕事、家族や人間関係など、これまで当たり前と思っていたことが音をたてて崩れています。既存のシステムは、こうした変化の前に役に立たなくなっています。

● そんな中、人々は国境を超えたNGO活動、市民事業や地域づくり、ボランティア活動、住民投票に代表される直接的政治参加など、「行動する市民」として社会や地域のさまざまな問題に取り組んでいます。政治や行政の限界があらわになる中で、 問題解決をプロに「任せる」のではなく、自分たちで考え、自分たちで直接、問題解決に取り組み始めたのです。

● 私たちは、こうした市民の活動が「市民自治と民主主義」に貫かれた「新たな社会」を創りだすことにつながっていくのだと思います。

● こうしたさまざまな市民の活動を紹介し、もっとみんながつながりあっていくために雑誌を創刊します。

● 北海道にこだわり、北海道に依拠し、自分たちの住む場、動く場、生きる場を自分たちで組みなおしていく、良くしていく、そうした活動をしている人々を下支えしていく雑誌にしたい。

● 北海道にこだわりながらも、全国・世界の人々とつながりあっていきたい。

● ふつうの人の目線を大切にし、いかなる権力や権威からも離れたところで生 きている人々にスポットをあてたい。

● みんなが言いたいことを言い、知りたいことを知らせ、明日のために役に立つ雑誌にしたい。

● 単なる批判に終わらせず、問題解決型、政策形成型の雑誌にしていきたい。

● どんな社会、どんな地域、どんな政治をつくっていくのか、主人公として発言し、議論し、提言す る雑誌にしたい。

● そんな雑誌が北海道に初めて生まれます。

編集委員会 富塚廣 松井豊 片桐真 桜井雅章

小林董信氏は、NO.5に『経済中心型社会からの決別、NPOこそ新しい市民社会の創造主体』、No.6に『北海道NPOサポートセンターがスタート……「専門家会議」で法人格取得を強力サポート』を寄稿しています。

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よくわかるNPO実践ガイド

1998(平成10)年3月25日にNPO法が公布され、NPO推進北海道会議がどこよりも早く発行したNPOのガイド本が「よくわかるNPO実践ガイド」です。1998(平成10)年4月に第一刷、11月11日に第二刷を発行し、本体価格762円、税込800円で販売、5000部を売り上げ、自主財源づくりの第一歩としました。小林董信氏は編集責任者として原稿執筆、内容の編集を担いました。

発刊にあたって

NPO推進北海道会議 代表委員 上田 文雄

1 9 9 8年3月25日に、NPO法(特定非営利活動促進法)が公布されました。94年の後半から市民の発案により制定運動が展開され、この間、阪神大震災やオウム真理教事件の影響を受けるなどの紆余曲折を経ながら、ようやく議員立法によって法制定となったものです。

この法律が生まれた背景には、次のような事があります。この20年ほどの間における社会の変化の中で、環境や福祉や人権などの諸問題、さまざまなボランティア活動、生きがいを求め人格の完成をめざす諸活動、文化芸術活動、あるいはまちづくり運動などに対応する形で、新しいタイプの市 民運動が生まれ、活動が展開されてきました。こうした市民の自主的な社会的活動は民主主義社会の再生と発展にとって欠かす事ができないものであるとの認識のもとに、市民活動団体を社会的に認知し、その地位の向上を図り、あるいは市民運動、市民活動、市民事業を行っている団体相互の連携(情報の共有や業務提携)、企業・行政の市民活動団体支援制度の創出が急務となっているという時代認識です。

こうした状況のもとで、北海道では、3年前に「NPO推進北海道会議」が結成され、フォーラム・ミニ講座の開催情報の発信、アメリカにおけるNPO活動の研修の企画、北海道への政策提言、NPOに関するアンケート調査などの活動を実施してきました。

また、これまでの活動実績を踏まえて、更に充実したNPO活動の推進を図るため、NPO支援機能と道内各地域相互の連携機能を中心とした、「北海道NPOサポートセンター」をこの3月28日に設立し、活動を開始しました。

この間、NPO法の国会における審議が進むにつれて、法人化を指向する市民活動団体からの問い合わせが多くなり、簡易でわかりやすいNPO法人格取得実践のためのガイドブックを作成する運びとなりました。

このブックレットが、市民運動・市民活動に取り組んでおられる方々に、なにがしかでもお役に立てれば、幸いです。

 


えぬぴおん

NPO法が施行され、北海道NPOサポートセンターは1999年にNPO法人となりました。それから3年半が経った2002年10月、NPO法人北海道NPOサポートセンターは、北海道のNPO総合情報誌[えぬぴおん]を創刊、[NODE]を発行したNODE編集委員会が「編集工房NODE」と改め、[えぬぴおん]の編集を行いました。

 

創刊にあたって

法人格を持つことの意義

NPO法人北海道NPOサポートセンター 理事長 上田文雄(弁護士)

1998年12月に特定非営利活動促進法が施行されてから、多くのNPO法人が誕生し、活動を展開しています。現在全国で7700、北海道で300を超える団体がNPO法人として認証を受けております。この法律が施行され動き出して何がどう変わったのか?欧米のNPOに比べると大人と赤ん坊ほどの違いがあるものの、社会の動きと相まって、変化の兆しは少しずつ出てきているように思います。

NPOサポートセンターの日常業務であるNPO法人申請のサポート業務から見えてくる一つの変化は、市民の行政との関わりかたについての認識の変化をあげることができます。法人申請をするときには実に多くの書類を書き(自力であるいはサポートセンターなどのサポートを受けて)窓口へ提出し、そこで所轄窓口の担当者とのやりとりが始まります。しかし書類作成能力が未熟であったり、不可解な行政用語に悩まされるなど、そのやりとりは困難や苦痛を伴うものが多かったようです。認証が出てからも、法務局と同じようなやりとりの繰り返しを強いられます。しかし、それは市民が自分たちの活動を組織的に継続的に行うために団体を作り、そしてその団体が社会的認知を受けるためには、どうしても乗り越えなければならない手続きなのです。

事業計画を立て、予算を作成し、これに基づいて事業を執行する。そして一年の締めくくりとして事業報告をして決算をする。法人格を備えるからには、そのような一見して面倒な手続きをきちんとやらなければなりません。それをやり遂げることによって、はじめて社会からその団体が法人格を持つに相応しい市民活動団体であるとの理解を得られるのです。社会から市民活動を担う団体であるという評価を受けるためには、団体の活動が外部からもよく分かるようにすること、そのためには自らの活動の自己評価をきちんとすることが求められます。そうすることで一つ一つのNPO活動が社会からの評価に耐えられるようになってきます。そしてこれを担う市民が育ち、そういう市民が行政と関わりを持つことで、行政も、政治も少しずつ変わらざるをえなくなってゆくのです。

NPO法ができ、NPO法人が沢山立ち上げられました。少しずつではあっても意欲的な市民がその想いを形にする方法を手にすることが出来ました。変革、改革と叫んでいる自治体や企業の側からも、もしかすると変革の鍵はこの辺にあるのではないだろうか?とアンテナを向ける人たちもでてきました。NPOに係わる人 たちが増え、既得権といわれていたものが一つ一つ崩れて風通しの良い社会にしていくことが、混沌とし、将来像が見えないこの国を変える力になっていくことを密かに願っています。社会や現状に対するほんの少しの憤り・怒りと、これを共有する仲間たち、そして哲学をもった経営能力と事務処理能力があれば、身ひとつでNPO法人を創ることができます。

この「えぬぴおん」は、そんな仲間を応援します。そして、NPO相互、NPOと市民・企業・行政などのパイプ役となること、NPOに関する様々な相談、コミュニテ ィや協働など、情報や情報源をストックしこれを最大限有効利用し、NPO活動の支援となることを意識した情報広場としての役割を担えるように、志を高く掲げて行きたいと念じます。

 

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