事業名 :「健常」と「障がい」の間から見える世界を広げる

障がいや特性があり苦しんでいたりする人への理解が進み、多様性を許容できる社会組織を増やす活動に取り組みます!「発達障がいグレーゾーン」と呼ばれる人々が社会生活をおくるときに困難が少なくなるよう支援できるようになりたい。そのために学び、当事者の声を聞いていきます。

助成使途:
1.発達障がいの方とのコミュニケーション、また、発達障がいの方がどういったコミュニケーション方法で他者と関わっていけばよいかを学ぶための費用(講座の受講(旅費を含む)および書籍購入代金)
2.「発達障がいグレーゾーン」について理解を深めてもらう動画と、「発達障がいグレーゾーン」の人にとって、定型発達の人や発達障害の人と関わるときの考慮した方がよいことなどをまとめた動画を作成する費用(動画編集ソフト代金)
3.発達障がいを持つ人の就労をサポートする方や、当事者のインタビューをするための費用(インタビュー謝金、旅費など)

インタビュー:駒谷漢人さん(こまや かんと)(NPO法人楽しいモグラクラブ 職員)


■現在の活動について教えてください

障がい者、引きこもりの方々への支援と動画配信

NPO法人楽しいモグラクラブ」で職業指導員として働き、2年程になりました。就労継続支援B型の事業所で、通所される障がいを抱えた方々の職業指導や生活支援と、引きこもっている方の支援事業を同時に行っているような感じです。
モグラクラブの利用者は、知的障がいや精神疾患を持っている方、また診断されているかは別として発達障がいの傾向のある人が多いです。あと、他の事業所でうまくいかなかったような人たちも来ていると思います。
引きこもりの方たちへの支援としては、モグラクラブだけではなくて、居場所支援をしている団体や在宅訪問カウンセリングをしている団体、障害年金の申請サポートをしている方などと連携をとりながら、引きこもっている方が社会に一歩踏み出すためにどういった支援が必要なのかを考え、実践しています。引きこもりの状態から一歩踏み出すための道筋をいろいろ選択できるようなパンフレットを送付したり、支援者として、引きこもりの方々にどういう声のかけ方や支援の仕方がいいのかなどが分かる動画をまとめて、当事者だけではなく支援者も学べる内容の動画をYouTubeで配信しています。

 

■活動を始めるきっかけは?

僕を理解してくれた職場と出会えたから

人との繋がりでモグラクラブ理事長の平田さんを紹介してもらったことが縁で働き始めました。モグラクラブは個人個人でどうやって働いていくかということも考えられるような組織で、僕のことを理解してくれた平田さんや職場の人と出会い、やっと安定して働けるようになり、スキルを身につけたいと思っていた僕に今回の助成事業を紹介してくれました。
というのも、僕自身、学生のときまでは人間関係とかで大きな苦労はなかったのですが、社会に入って周囲の人たちと調和して働くことができないことが多く、すごく大変で苦しい時間を過ごしました。3、4回転職したので、なかなか生活が安定しなかったです。社会生活がものすごい大変だなと思って生きていたところがあったので、なんでだろうとは思っていたんですが、モグラクラブで働いているうちに、自分も発達障がいの傾向があるのかなと思うようになったんです。引きこもったり、精神疾患になってしまうのは、社会でうまくいかない経験が続くことが原因になっていることも多いんじゃないかなって思い始めていて、今の職場でやっと自分が元気になれたので、次は社会生活を送ることに苦労している人たちに何かできることがあればいいなと思って始めました。

 

■小林董信基金の使途(活動内容)を教えてください

スキルを身につけ、社会のずれをなくしていきたい

まずは自分がもっと発達障がいのことについて理解を深めるために書籍を買ったり、資格を取らせていただきたいと思っています。資格は主に発達障がいのコミュニケーションに関するものを受けようと思っています。発達障がいの方とのコミュニケーション方法を学び、どういった声かけをしていけばいいのかなどを身につけて、支援に生かしたいです。
将来的には発達障がいや引きこもりの人たちがより多く企業などの一般社会で働けたらいいなと思っているので、一緒に働きたいと思っている企業の人に発達障がいがある人のことをどう思っているかなどのインタビューをすることで、企業側と引きこもってしまう人の間にどういったずれがあるのかを知り、そのずれをなくしていける活動をしていきたいと思っています。

■1年後、自分自身の活動に対する希望はありますか?

コミュニケーション力を生かした支援者になっていたい

自分に発達障がいがあるか、ないか、曖昧なところで苦しむ人たち(グレーゾーンの人)にとって良い支援やアドバイスができるような人になっていたいです。そういった方たちとのコミュニケーションを学び、得た知識を動画にして発表することで、僕のいる団体(モグラクラブ)を発達障がいを持つ人やグレーゾーンだと思っている人にとって心強い団体だとアピールしていきたい。また、一支援者としても、そのスキルを持った人材になりたいと思っています。

 

■現在、活動を進めるにあたって課題に感じていること、不安に感じていることは?

人と繋がり、アピールしていく力

知識を取り入れたり、勉強して自分を進めていくというインプットは今までずっとやってきたのですが、例えば先ほどの、企業の方にインタビューをしたい場合、どう企業の人と繋がることができるのかが課題です。動画を撮ってどんどん自分や団体をアピールしていくには、コミュニケーションスキルやアピール力が必要だと思うのですが、自分から発信していくのがあまり得意でないので、不安があります。どうやって人と繋がっていけるのか、今回の事業は伴奏支援者がいてくれるので、いろいろと相談できることが心強いです。

 

■小林董信基金に対する期待

個人でも頑張れるきっかけを、これからも

今回のようなきっかけをいただくことで頑張ることができたり、うまく活用できたら個人としてすごく成長できるんじゃないかなと思っています。そこが自分自身、一番楽しみなところでもあります。
小林董信氏の「既存のあらゆる価値観から脱却する」という精神や、行政とも対等に協働する力をつけ、社会の仕組みや価値観などを変えていけるような人物になりたいと思っています。

■寄付者へのメッセージ

知識や能力を高められることに感謝

いただいたお金を生かして自分の知識や能力を高め、それをいろんな人に還元できるようになりたいです。ちょっと時間がかかるかもしれませんが、生かせるような方向にどんどん頑張っていきたいと思っています。寄付を頂きありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 

◆伴走者より

小林基金個人助成にかける思い

小林董信さんには大変お世話になったので、次の世で気持ちよく再会できるように、と伴走を引き受けました。助成金取得者にお会いしたところ、発達障害グレーゾーンとのことですけれど、話す・聞く態度はしっかりした方で、いわゆる健常者との違いはわかりません。その曖昧さが辛いのかも?と想像しています。一緒に学んでいくことが伴走になればと考えています。
                                                                                                                                                                  伴走者:吉田三千代(NPO法人飛んでけ!車いすの会 創業者)