2022年越智基金・市民活動支援基金助成に寄せて 選定委員 佐藤隆 (北海道NPOサポートセンター顧問) 

2022年8月28日

募集にあたって

◆2022年選定委員 佐藤隆 (北海道NPOサポートセンター顧問)

越智基金が発足してから今年で23年目、昨年までに489団体に対し3183万円の助成が行われてきました。1団体の平均助成額は65,000円。数多くのささやかなニーズに少額助成で答える基金です。

今回の助成の柱には、日本に住む外国の方に対する支援、海外NGO関連が含まれます。少額支援の当基金が、どの程度お役に立てるのか少し不安もありますが、積極的に応募してもらい有効に使っていただきたいと思います。

様々な理由で来日する外国の方の多くは、少子高齢化で労働力不足が進む日本社会の中で、例えば農作業、酪農、水産加工、左官大工やガテン系の現場、居酒屋、コンビニ、夜間の労務、介護の現場などの大事な仕事をしている方々です。日本政府の方針では単純肉体労働者は、在留が認められる正規の労働者としての地位が与えられていないため、労働者としての基本的な権利が認められず「タコ部屋」が横行し、国連からは人身売買が指摘されるなど外国人労働者を取り巻く厳しい状況がアンダーグランドのように社会の中に存在しています。難民については全くと言ってよいほど受入れようとしていません。ウクライナについては少し窓を開いたようですが、ミャンマーやスリランカ、アフガン等のアジア系やアフリカ系の難民への対応は変わっていないようです。同時代に生き、同じ人権を行使すべき人々への冷たい対応の放置は、日本の社会にしっぺ返しとなって跳ね返ることになりそうです。

越智基金がこれまで助成させていただいた489団体は、ほぼ小さなNPOでしょう。この小さなNPOこそ日本の宝と、少し肩に力を入れて語りたいと思います。外国人を含めた国内の住民の基本的な人権は、第一義的には行政が守るものですが、行政のフレーム以外のところに広く深くこの489団体が善意のサービスを提供してくれています。一つ一つは弱く細い糸かもしれないですが、489本集まれば立派な社会の絆となって社会を支えてくれているでしょう。応募をお待ちしています。


越智基金・市民活動支援基金