北海道NPOファンド 理事 高山大祐
2023年の3月、北海道NPOサポートセンターの中西さんと私とで栗山町の市民活動講座を担当してきました。折しも大いに話題になった野球のWBCで優勝した栗山監督の地元であり、まだまだWBCの熱気が冷めやらない中、4団体に参加していただきました。
表題のAARというのは、アンティシペーション・アクション・リフレクションの頭文字でOECDの教育のフレームワークとして知られているものです※1。
週刊経団連から引用しますと「個人と社会の関係のとらえ直しを前提として、「AAR循環」(自ら楽しいことを考え<Anticipation>、実践し<Action>、振り返る<Reflection>という「開放系」の試行錯誤の循環)を繰り返せる社会としていくことで、誰もが担い手として活躍できるようになる」考え方と言われています(週刊 経団連タイムス 2021年7月22日 No.3508 多様な組織や個人による主体的な地域づくりのあり方※2)。
2022年度のアクティブシニア事業において、北海道NPOサポートセンターが講師の西上ありささんによるAARの考え方を取り入れた講座を実施したこともあり、私もその効果を目の当たりにすることになりました。そこで、栗山町の講座では、この考え方を取り入れたワークを行いました。
PDCA(プラン・ドゥ・チェック・アクション)はよく知られたマネジメント手法であり、おそらくは今後もなくなることがない考え方だと思います。上記の経団連タイムスの記事では、PDCAサイクルのネガティブな面として「評価(チェック)を意識するあまり、達成可能な目標が計画されるようになり、取り組みが縮小していく状況に陥っている」と指摘されています。
これに対してAARでは、楽しいことを思いつくことが初めに来ていること、サイクルが短いことが一つの特徴といえると思います。
多くの非営利団体の伴走支援を担当した者としては、手法としてどちらが優れているということは当然ながら言えませんが、PDCAサイクルは、計画を立ててチェックを行うということについて、それなりに方法的に行う必要があり、効果を発揮するためには一定以上のリソースが必要になるという印象があります。AARは、地域社会やコミュニティにおいて「やってみたい」という気持ちがあれば動き出すことができるので、大きな手持ち資金がなくても始めることができるという意味で、多くのNPO、地縁団体などに適合する考え方と言えるかもしれません。AARで楽しみながら試行錯誤を繰り返し、スケールアップを目指すならしっかりした事業計画を立ててみる、そのような使い分けが有効になるかもしれません。
(※1) https://www.oecd.org/education/2030-project/teaching-and-learning/learning/aar-cycle/
(※2) https://www.keidanren.or.jp/journal/times/2021/0722_03.html
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