北海道NPOファンドが加盟している全国コミュニティ財団協会の第9回年次総会が、2023年1月11日、京都において開催されました。今年のテーマは「地域の未来をつくるコミュニティ財団の可能性」です。全国コミュニティ財団協会は、現在休眠預金等活用法助成の資金分配団体として、地方においてコミュニティ財団を設立し地域の資金循環の仕組み作りを目指す事業を行っています。年次総会を報告します(北海道NPOファンド・高山)
●オープニング・セッション「地域の未来をつくるコミュニティ財団の可能性」では、全国コミュニティ財団協会 会長・佐賀未来創造基金代表理事の山田さん、副会長・未来ファンド沖縄代表の小阪さん、理事・泉北のまちと暮らしを考える財団代表理事の宝楽さんが、 コミュニティ財団の動きが始まった2010年ごろからの社会の動きと、2014年のコミュニティ財団協会設立までの経緯を振り返り、また休眠預金等活用法の施行など財団を取り巻く環境変化、これからの役割などについて話し合いました。寄付税制の改正により寄付者に税制優遇が受けられるようになって以後、寄付には投票に近い意味があり、寄付文化醸成とはそのような寄付の意義を伝え、地域の自治を支えることが重要だというお話しが印象に残りました。
非営利セクターを取り巻く環境は、寄付税制、公益法人制度改革による一般社団/財団の増加、資金調達方法の多様化(社会的投資、SIB、ふるさと納税)など、前向きな変化がある一方、取り組むべき社会課題は、少子高齢化に代表されるように深刻化する方向に変化を続けています。つまり、活動はしやすくなっているけれども、取り組む課題は様相が悪化し複雑化していくという状況といえるかもしれません。地域のコミュニティ財団は、地域の人々が地域の課題を解決する存在として、資金循環、資金仲介能力はもちろん必要ですが、地域の状況に合った仕組みづくりを担っていく必要もあります。コミュニティ財団一つ一つの規模は決して大きくはありませんが、この年次総会のように、全国各地の取り組みや試行錯誤などが共有できる場があることで、次々に様相が変わる地域の課題に対して迅速に対応できる可能性が高まるのではないかと感じました。
その後の分科会では、4セッションが行われましたが、私は「自治のミライ〜日本の団地はここまでできる〜」のモデレータという形で参加しました。「戦後高度経済成長を果たした日本の公的賃貸住宅(略称、団地)とコミュニティ自治の未来に必要な視点」を掘り下げるということでしたが、泉北ニュータウンを中心に活動する泉北のまちと暮らしを考える財団の宝楽さんをコーディネーターに、大分日の里団地、NPO法人団地ライフラボat茶山台の実践報告をお聞きしました。北海道NPOファンドが北海道を活動対象とするように、多くの財団は県や市町村を活動域としています。その中で団地を対象にするというのはとてもユニークだと思っていましたが、考えてみれば団地というのはその地域に住む人たちの生活が集約されている場所であり、課題への取り組みであったり自治の促進・活性化であったりといったことを実行しやすい場所なのかもしれません。とすると行政区画よりも、課題のあるところ、自治の動きのあるところがどこかということがコミュニティ財団の活動領域を考える際に重要なのかも知れません。このセッションでは、規模が大きくなくソフト的活動の支援に強みを持つコミュニティ財団や地域の中間支援NPOが、まちづくり系の企業や開発系コンサル、行政などが先行して活動しているような地域においてどういう役割を果たせばいいのかということを考えさせられました。
(北海道NPO情報2月号に掲載)
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