2022年度越智基金による支援について  選定委員長 田口晃(NPO推進北海道会議 理事)

2022年8月28日

2022年度越智基金による支援について

◆選定委員長 田口晃(NPO推進北海道会議 理事)

ウクライナでの戦争や安部元首相暗殺など血なまぐさい暴力が目立つなかで、平和で非暴力的な市民活動というものの意義があらためて浮き彫りになっている2022年です。そうした中、越智基金による市民活動支援を今年もおこないたいと思います。今回は例年通りの通常支援のほかに、二つの特別枠をもうけることにしました。一つはウクライナ等紛争地からの避難者を支援する活動に対するものです。国境を超えるNPOであるNGO(国際非政府組織)も当然対象になります。グローバリゼーションの時代は同時に難民の時代でもあり、そうした状況の下では国境にこだわらない市民活動こそが普通の人々の平和とつながると考えるからです。もうひとつはウィズ・ポストコロナの市民活動向けの特別枠です。コロナとの付き合い方はまだ不確実でさまざまな想定外の動きにも対応しなければならなりません。そこで、臨機応変をスローガンに新たな枠をもうけてみました。ご活用ください。

アベノミックスの付けで円安となり、加えて戦争の所為もあってインフレが始まっています(厳密には50年ぶりのスタグフレーションか)。特にガソリン価格の高騰は移動コストを引き上げ、市民活動の足をひっぱりそうです。そこで、移送や移動を仕事にする市民活動に携わっておられる方がたには今回格別の配慮をして差し上げたいと考えています。

越智基金が支援する市民活動はこの間ずいぶん多様になりました。新しい活動の場を見つけ出し、すぐに動き出す皆さんの知恵とエネルギーにはいつも感嘆してきました。多種多様な市民活動が活発になることは社会の多様性を促進すること、つまりは多様な生き方が平和裏に可能になることを意味します。そうしてそれは物質的ないし金銭的な豊かさとは質の異なる豊かさを人類が持ちうることを示してきたと言えます。経済格差の是正という課題は勿論最重要ですが、生き方の多様性という豊かさも忘れずに進んでゆきましょう。


越智基金・市民活動支援基金