開催報告 越智基金終了に寄せて~北海道で寄付について話し合おう!「キフカッション」開催~

2025年2月2日

「失敗と再チャレンジを応援してほしい」佐藤隆さん(北海道NPOサポートセンター顧問)

2024年12月27日14時から、市民活動プラザ星園において、寄付月間2024賛同企画としてキフカッションを開催しました。参加無料で、お茶とお菓子用意して気軽に寄付にまつわるお話しをしました。今回は、今年でおよそ3500万円の基金全額を助成し終わった「越智基金」をテーマにしました。越智基金は1997年ごろ、札幌地区労働組合協議会議長であった故・越智喜代秋さんの遺言によって設立されました。当時としては珍しい遺贈寄付をきっかけとした民間のNPO助成の基が築かれたのです。

話題提供として、越智基金だけでなく、NPO推進北海道会議など北海道のNPOの発展に関わってきた佐藤隆さん(北海道NPOサポートセンター顧問・前北海道NPOファンド理事)にお越しいただきました。北海道NPOサポートセンターの大原理事長、不動産会社としての立場で越智基金に関わった五十嵐さんなど、合計8人が参加しました。

越智基金は設立以来およそ25年近く、総額3500万円、助成件数336件の実績を重ねてきました。北海道のNPOを対象とした使途を問わない小額助成を受けてきた団体の中には、ezorockや釧路の地域生活支援ネットワークサロンなど、初期に助成を受けて、その後事業規模を大きく伸ばした団体さんも少なくありません。

和気藹々とした中にも、越智基金がこれまで果たしてきた役割を、これからどのように北海道NPOサポートセンターや北海道NPOファンドが果たしていくかについてさまざまな意見が交わされました。(北海道NPOファンド理事・高山)

 

話題提供・佐藤隆さんの発言より

<何にでも使える10万円は小規模団体にとって貴重>

「普通のNPOってやっぱ規模小さいからさ、10万円ぐらいでもね、結構な金額なんだわ。1万円もらって、パソコン買ってないプリンター買ってよかったねっていうね。やっぱ管理する上で非常に役立つしさ、だからそういう規模の小さいNPOにとってはさ、こういう何やってもいいような資金っていうのはさ、あるべきなんだと思うよね。役に立ったと思うよすごく。だから越智さんも冥土の土産じゃないけど、向こうからよくやったってね、助成総額も当初から1000万円増えて、3500万になってさ、きっと喜んでると思うよ。」

 

<チャレンジと失敗を応援しよう>

「若い人は新しいことをどんどんやってどんどん失敗すればいいと思うんだよね。失敗にお金を出さなきゃ駄目だよね。越智基金の10万円ぐらいだから失敗するも失敗しないもないけどさ。北海道NPOバンクもね、本当は失敗バンクでいいんだよ。うん。だけど、なかなかそうはいかなかったのさ。保証人とかそういうのはもうなくしてさ、もう本当に自分たちが眼力でこいつは何とかなるなっていうふうにね、やっぱね、経験でさ、だんだんみんなが経験積んでさ、こいつは何とかなる、貸せみたいなね、そのくらいやってほしいんだけど、実際はそうはいかないよね(笑い)」

「装置としてはさ、寄付税制もあるし、揃ってんだよ。ある程度ね。あとはどうやって使うかみたいなところがあるんだけども、やっぱさ、チャレンジしてもらいたいなっていうか、失敗してもらいたいと思うんだよね。新しく何かやって失敗しながら大きくなる。やはりその失敗を応援できるように、みんなでね、なんて飲み会で応援してもいいんだけどさ。(失敗したら)すごい学ぶと思うものね。」

設立当時を知る五十嵐さん

「越智さんは基金のことをすごく喜んでました。その当時(私は)不動産業者だったんで越智さんの資産の整理の相談を受けてたんですけど、家族に先立たれて、本当にお一人だったんです。それで自分の残す資産をどうしようかってことで迷われて上田先生がずっと相談に乗っていたですよね。それである日もう売ろうという話になって売ったお金をどうするかというときに、上田先生が「基金っていうのがありますよ」っていう話をされて、ちょうど僕そのとき立ち会ってたんですけど、「初めて(腑に)落ちた」って。それで非営利団体・NPOがいっぱいできてるから、その人たちに対しての基金っていう形でやったらどうでしょうといったら、元々労働界の人で、NPOへの基金という考えにものすごく喜んで「それはいい」って言って、それでもうぱっとなったっていうそんな記憶がありますね。」

「5年ぶりぐらいにこういう会合に出て、やっぱりコロナのときは、もう本当に閉じこもってたんですよ。今回越智基金が終わりになるって見たときに、これ最後でなくちゃいけないっていう気持ちになってきたんですよね。最後はやっぱり人と人の繋がりがね、すごい大事だなっていう気はあるので例えば自分が危機に陥ったときとか他の友達や何か知り合いが危機に陥ったときでも、最後は人の繋がりじゃないかなっていう気はするのでこれからもそれは大事にしていきたいなとつくづく思いました。」

大原さん(北海道NPOサポートセンター理事長

理事長としての立場を離れて参加しました。僕の専門からいくと、特に情報開示の問題にはこれからも取り組みたい。寄付文化醸成にとっても大事だと思う。

参加者の声

・SNSなどでアルゴリズムの力が強くなっているという話を目にすると、そこに入り込めない、勝てないと思う気持ちになってしまうが、越智基金の良さはおおらかさだったり、人の信頼によってお金が動いていくところだと思うので、人の力が活きるきっかけだけはつくっていきたい。

・北海道NPOサポートセンターと北海道NPOファンドで、面白い基金をつくれそうだと思った。

・寄付文化が最近の私のテーマになっていた。宗教的な違いもあるのかと思っていたが、日本も変わってきている、これから先も変化する可能性がある。寄付は信頼が大事なので、信頼性のある会計報告というところで、前に進められればと思う。

・越智基金に何度か申請したが、必要な事業のためにお金を準備して、普通の助成金の対象にならないような、どうしても必要なちっちゃいお金の積み重ねの5万円とかを、誰かが身銭を切ると内部の人間関係がおかしくなるけど、どうすんのって言ったときににあるというイメージがあった。

越智基金と後継基金「市民活動支援基金」のページ

キフカッション「北海道で寄付について考えよう」レポート(PDF)


当日資料の一部

「寄付と遺贈」 上田文雄氏(弁護士・前札幌市長)

数字で見る越智基金(PDF)

どんな時代? -助成の多かった2001年ごろの会報誌

2001年1月北海道NPO情報-当時の田口晃・NPO推進北海道会議代表の「21世紀NPO提言」が収録されています。

2001年12月北海道NPO情報-佐藤隆さんのアメリカ視察報告

2002年度設立時の北海道NPOファンド年次報告


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