NPO推進北海道会議のSIB研究会が平成29年度まちづくり推進活動支援事業助成として実施した、 「オープンセミナー・NPOの事業評価について」は、2018年2月20日18:30~より参加者20人で開催しました。認定NPO法人日本NPOセンター基盤開発チーム事業評価担当の清水みゆき氏を講師にお迎えしました。講義では事業評価の意味(社会調査の方法で社会プログラムの介入の効果を調査し評価、社会状況改善の活動の情報源となるもの)について、一般的な評価設計の流れ、事業評価とは事業評価についてのNPOの意識調査の結果、NPOにとってのメリットと批判的論点、NPOのもつ「社会的価値の創造」という側面にあう評価はどのようなものか、などについてお話いただきました。
続いて、今年度NPO推進北海道会議で実施した「参加型評価(評価対象団体とともに評価作業を行う)」の事例として、NPO法人雨煙別学校、NPO法人自立支援事業所ベトサダについての評価実施プロセスを発表しました。
パネルディスカッションは、清水氏に加え、河西邦人氏(札幌学院大学経営学部教授)、当法人代表理事の田口晃、山﨑貴志氏(NPO法人自立支援事業所ベトサダ 代表理事)、高橋慎氏(NPO法人雨煙別学校)をパネリストに、当法人の佐藤隆をコーディネーターにNPOと事業評価について議論しました。「自己評価という形では浸透するだろう。その過程で外部の視点は必要。評価できる人が増えることが必要。NPOにとっても重要だが現状の評価方法でよいのか、今も考えている。評価自体は社会の成熟、個人の成長にも必要だ(田口晃)」「北海道NPOバンクは外向けの評価と内部統制のための評価を明確に分ける方針である。内部のプロセス改革は私自身の暗黙知で行われているが、それを可視化したい。バンクの事業が社会の共感を呼ぶような評価をして情報発信をしたい。ベトサダの報告書には実際の生活困窮者の声が載っている。利用者の声をもっと聞いていく必要があるかもしれない。そして内部で、なぜこのときは満足してくれたのかを考えることが必要だろう」「NPOの評価には、評価のプロだけでなく、NPOのことを理解した翻訳者、コーディネーターが必要、将来的にはNPOの各団体に評価スキルが内在化されることが望ましい。情熱を活かす評価あるいは戦略として推進している。評価と事業を分けるとつまらないものになる。(清水氏)」「栗山で育った子供たちが、どこにいっても栗山で育ったことを肯定的に語れるような事業をしていると、示したい。そして職員が事業の意義を語れるようになれば(高橋慎氏)。「私たちの施設にくるホームレスは統計に表れない人が多い。統計上ホームレスは減少しているが、ネットカフェや知人宅に寝泊まりしている人がいて、そういう人がくる。そうした統計に表れない実態を可視化して、行政なり世間なりに伝えていきたい。そういった部分で、評価の取り組みが効果を発揮してくれれば(山﨑氏)」。最後に清水氏は「NPOの核にあるのは情熱だと思う。ベトサダの利用者のインタビューは深いものがある、ここにこそ鍵があると思った。雨煙別学校についても、社会、自分の地域を良くしたいという意思が大切だと思う。評価というものを一つの武器として考えている。最初から完璧な評価は必要ない。手法を学んだうえで、自分たちらしく、自分たちの事業に自信をもって見直していく。そのような情熱と地続きの評価がやっていて面白いと思えるだろうし大切だと思う。」とまとめました。
NPO推進北海道会議では、来年以降もSIBや事業評価をテーマにした活動を続ける予定です。
(NPO推進北海道会議事務局 高山)